ベルクの壁のオブジェたちの物語② 楢
楢(なら)には髄線というものがあります。
環状にはっきりした年輪があるのに直交して、中心から放射状にある髄線が強固で重厚な質感を作っています。またその髄線が虎斑(とらふ)と呼ばれるまるで虎の模様のような木目を作ります。初めは年輪の模様の方が目立っていた木目が、時の経過と共に虎の模様が浮き出てくるように見えて来るのも楢の魅力です。
手のひらサイズのオブジェ『Fée-Fée』の水楢
髄線が形作る虎斑が綺麗に出ています
使い込まれた水楢の床
虎斑が浮き出て見えます
楢といったらどんぐりが実る木の代表格です。毎年沢山の実を落とし、森の動物たちの貴重な食料になります。
僕が住む甲(かぶと)部落から道なき道を山の奥へと深く深く分け入って行くと、突如、樹齢が恐らく五百年を超える水楢の大木が姿を現します。大の大人の男が抱き付いてもまるで壁に貼り付いているような大木の根の部分には洞穴が空いており、よく見るとその周辺の幹には黒茶色の毛が引っ掛っていました。つまりそこは熊の冬眠場所かも! 熊にとっては絶好の場所です。お腹が空いても母なる水楢からどんぐりが絶えず落ちてくるでしょうから。
このクラスの水楢が5〜6本以上ある!
ベルクの壁にある水楢のオブジェ
髄線はまだそれほど目立ってはいない
少し古い水楢から作ったオブジェ
少しだけ髄線が浮き出てきた
これは甲の山から拾ってきた水楢
髄線はそれほど目立たないが貫禄ある味を出している
水楢はベルクの壁にまだまだあります。
ぜひ探してみてください。